コールセンターで運営されている方々は、KPIマネジメントやQA手法など様々な運営ノウハウを蓄積し、必死に頑張っていると思います。
しかし、経営側から見た評価はそれほど高まっていないコールセンターも少なくありません。
どうしてでしょうか?経営的な評価はあくまで図の分子の側面を期待しているからだと思います。KPIマネジメントなどは図の分母の話。
自社のコールセンターで分子にあたるものは何かを考える必要があると思います。
コールセンターで運営されている方々は、KPIマネジメントやQA手法など様々な運営ノウハウを蓄積し、必死に頑張っていると思います。
しかし、経営側から見た評価はそれほど高まっていないコールセンターも少なくありません。
どうしてでしょうか?経営的な評価はあくまで図の分子の側面を期待しているからだと思います。KPIマネジメントなどは図の分母の話。
自社のコールセンターで分子にあたるものは何かを考える必要があると思います。
昨日のパネルディスカッションでも、コールセンターを現状のコストセンターからプロフィットセンターにするにはどうしたらいいかというモデレーターのご質問があった。
雑誌などでも書かれているが、その言葉に違和感がある。(モデレーターの質問が悪いという意味ではない)
プロフィットセンターになるからアウトバウンドだ、インバウンドしなからクロスセルしよう、アップセルしようという安易な話になるだけで、あまり議論が深まらない。(コストセンターからプロフィットセンターという言葉では)
営業部門はプロフィットセンターかもしれないが、中を分けたら営業事務やサポート、営業企画推進部などはコストセンターと言ってもいいかもしれない。そもそも企業の活動においては、売る瞬間以外は全てコスト部門の活動(=コストセンター)ということにならないだろうか。
グローバルなサプライチェーンをきちっと作り上げた企業は収益性も高く、戦略性もある。しかし、そのサプライチェーンの中で実行している業務はプロフィットセンターという言葉で表現できる業務ではないだろう。プロフィットセンターではないが、戦略部門であるとは言えるかもしれない。全体の業務プロセスやインフラによって企業な競争力をつけ、収益性を高めている。それは部分的にはコスト部門的業務であっても、全体を見たら戦略部門であるのだ。
コールセンターも同じで、プロフィットセンターになるのではなく、非戦略部門から戦略部門になると言ったほうが整理できるのではないか。コールセンターの中だけを見つめてなんとかプロフィットセンターになるには?と考えずに、コールセンター以外の部門も含めて顧客接点全体をどう組み替え、コールセンターが、マーケティング上、顧客サービス上、顧客満足度上、 顧客セグメント毎の収支上など様々な観点から重要な役割を果たす戦略部門になるにはどうしたらいいか?というイメージで議論すれば答えがはっきりするかもしれない。
コストセンターからプロフィットセンターへではなく、非戦略部門から戦略部門へのほうがいいと思いませんか?
本日、CCMのコールセンターマネジャーズサミットというイベントで基調講演をさせていただきます。
テーマは、「ミッションを軸にしたコールセンターの再構築」です。
http://www.atmarkccm.com/forum/070412/progrum.html
また、夕方のパネルディスカッションもパネラーとして参加させていただきます。
東大のコールセンター調査レポートの中に、アメリカのコールセンター就業者は全労働力の3%を占めるとの推計もあると記述されています。
日本の就労者数はH14で6300万人。もし、同じ3%がコールセンターで働くとしたら、189万人になるということです。
アメリカは日本の倍だとしてもすごい数ですね。そもそもこの数にはインドやフィリピンにオフショアで出しているコールセンターは入っていませんので。
日本では、問合せや受注などが中心のコールセンターばかりですが、営業部門がそのまま非対面コールセンターになっているとか、技術者のサポートするために、上級技術者がヘッドセットをつけて遠隔地の技術者をサポートするとか、企業内の様々な業務機能を、物理的にはコールセンターという箱の中で実施しているということだと思います。
コールセンターという特別な部門ではなく、仕事で使うチャネルの変化と言ってもいいのかもしれません。
日本もじわじわそうなるでしょう。コールセンターで働く人はそういう意味で増加します。
殆どの企業にコールセンターが必要になるということは、小規模のコールセンターが増加するということです。現在も日本のコールセンターの半数以上は小規模(50席未満)のコールセンターです。
コールセンターは、大きくても、小さくても、一通りのインフラと人員(役割を持った人員)が必要です。規模の大小に限らず、またたとえ兼務であろうが専任であろうが、やるべきことは、誰かが実施しなければなりません。小規模なら兼務にならざるを得ません。小規模だから品質管理は必要ないということもありませんし、交換機の設定変更や回線のメンテナンスも誰かがやらなければならないのです。
そこに小規模コールセンターの難しさがあります。
弊社では、30~100をメインターゲットに、コンサルティング的なサポートをオンディマンドで必要な時期だけサポートし、小規模センターの運営に必要ノウハウやインフラも、できる限りASPや月額料金で提供することで、小規模であっても、大規模と同じレベル、あるいはそれ以上のコールセンター構築をお手伝いしたいと考えています。
また、クライアントと共同で運営にあたることで、アウトソーシングの弊害であるブラックボックス化を回避し、かつ必要なノウハウやリソースを外部から調達するという体制の構築もお手伝い致します。(コ・ソーシングと呼んでいます)
ITから、コンサルティング、現場業務のアウトソーシングの3つを事業としている我々は、小規模コールセンターを構築しようとしている企業にとって最適なパートナーであると自負しております。
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100席以上ができないと言う意味ではありません。
違う立場の個人や企業・団体が複数関係したときに、それぞれが満足するにはお互いのベクトルを一致させることです。
お店とお客さんで、片方だけ満足することはありません。少なくとも長続きはしません。
コールセンターにおいて、運営する企業と架電してくるユーザーの両者の満足は、お客様が抱く疑問の根本解決にベクトルを合わせることです。
疑問がなくなれば、お客様は本質的に満足します。疑問がなくなればコールセンターの受電数は減少し、企業もコスト負担が減って満足します。
世の中には片方だけが得をしようとか、満足したいという状況が多々ありますが、それで継続的な満足を得られたケースはあまり存在しません。お互いのベクトルを一致させるポイントを探し、それに向けてそれぞれが努力したときに、両者の満足があるのだと思います。
企業とお客様
クライアントと協力会社
企業と従業員
株主と取締役
夫と妻
彼氏と彼女
国と国
などなど。
大規模コールセンターのマネジメントはポートフォリオ的な発想で考える必要があるのではないか?という話。
これを大規模コールセンター・マネジメント・ポートフォリオ(こんな言葉があるかどうか不明)と書いてみました。
大規模なセンターでは、採用面、SVなどの運用人員面、障害対策、業務の継続的改革、効率化、業務の品質管理など様々なマネジメントをしなければなりません。
単純にアウトソースした場合、採用面やSVの調達という面では安心かもしれませんが、業務の継続的改革や新たなサービス導入に伴う業務の追加、あるいはCRM系のシステムの刷新と同時に新たなコールセンター業務の改革などを実施しようとしたとき等、現場 のアウトソーサーを思うようにマネジできない可能性があります。ブラックボックス化した業務に手をつけられない、あるいは変えようとしてもなかなか変えられないという状況です。これは1つのリスクです。
例えば2000ブースの場合、業務を完全に把握しようと思えば、2000ブース全てを運用する必要はありません。100ブースで十分でしょう。残りの1900ブースは業務設計や業務改革などのミッションをはずし、大量な人員を調達して極力生産性を高め、低コストで大規模な運営をしてもらうことをミッションにしたらどうでしょう。生産性を高く大量な人員を採用しマネジするということと、業務の継続改革という二つのテーマについて上手にポートフォリオを組んだと言えるのではないでしょうか?
製造業においては、雛形工場で生産ラインの設計や開発を行い、そこで開発されたやり方を世界中の各地の工場に横展開しています。これと同じです。
コールセンターの業務やシステムを設計するとき、設計が網羅的かどうかが重要なポイントになりますが、どこまでをカバーしたら網羅的なのか?逆に、漏れている設計領域はどこが多いのでしょうか?
どこのセンターも業務としてFAQやスクリプトなどは作成します。
パフォーマンス管理業務として、品質管理の方法や生産性管理の手順、評価のやりかたなどをきちっと設計するコールセンターは少しすくなくなります。オペレーターの業務は設計しても、SVやマネジャーの業務は設計せず、運営中に属人的に業務が決まっていくというパターンは少なくありません。
さらに、細かいようですが、運営するSVの運営のための手順書は殆ど作成しないケースが多いと思います。例えば、シフト申請の取りまとめや個人個人との調整、残業して最後に退社する人がどのようなこと(戸締りなど)をしなければならないか、IDカードの紛失申請の手順は、土日祝日のSVの緊急連絡先は?、各種保険などの申請書類、日々発生する緊急周知事項(マニュアルに載らないもの)の過去の履歴管理や休んでいたSVへの情報徹底などなど・・・。
実際の現場は、最後に記述した運営するための事務・業務においても大変苦労しています。アウトソーサーは雛形を持っているかもしれませんが、インハウスのセンターを作る時には、受電業務以外の業務、特に運営する側の業務や手順などを整理し共有する仕組みを作っておくことで、逆に受電業務のマネジメントに集中できる環境が整うことにつながります。
コールセンターを企画する側や管理する側は、一度自社のSVに運営するための業務負荷についてヒアリングすることをお勧めします。営業部門の業務設計が、売ることだけでは網羅されないと同じで、コールセンターも電話をとるだけの業務設計では網羅されない領域が沢山あります。
昨日お客様と話をしていてVOC(顧客の声)をどうまとめるか?という話題になった。
受電率や充足率などのKPIでマネジしていると、顧客の声を集めるということはできない。その一方で沢山の電話を取っているCSRさんは、お客様の声に気がついている。
顧客応対履歴をテキストマイニングしようと考える企業もでてきているが、応対履歴そのもの記述方法がばらばらならば、マイニング後の結果もあまり期待できない可能性がある。
よって応対履歴の記述方法を教育し、そしてオペレーターさんに応対履歴を毎回記述してもらって、更に費用をかけてテキストマイニングをする。そして、お客様の声を分析しようと試みる。これも1つのやり方だ。
しかし、そんな大掛かりなことをするよりも、オペレーターさんに聞くということをまずやったらどうかと思う。オペレーターさんの頭の中にはいろんなアイデアや気づきが詰まっている。
【あのFAQをちょっと直せばこの問合せは減るのにな!】
【カタログの順番を変えるだけで、この勘違いは減るのにな!】
【この問合せが来るのは、こういう使い方をしているお客様が多いってこと。それを新しい商品に機能として追加したら、受けると思うんだけど・・。】
などなど。まずもっとオペレーター力(オペレーターさんのノウハウやアイデアや頭のデータベース)を活用すべきではないだろうか。
きっとオペレーターさんのモチベーションも上がるだろう。
ITメディアで永井氏の記事で、『顧客満足度を高めれば、必ず売上があがるのか?』というエントリーがありました。その通りだと思います。以下一部引用です。
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- 商品・サービスの不満情報は、満足情報の2倍の量で伝達されていく
- 苦情を言った客がその後満足すると、80%以上が再購入する。これは、苦情を言わなかった客の再購入率60%よりも高い
- 一方で、苦情を言った客が企業の対応に不満を抱くと、再購入率はゼロになる。
ことほどさように、コンタクト・センターでの対応品質は、企業の収益に直接影響します。これは、多くの業界で普遍的なものです。
(略)
巷では、「顧客満足度を高めれば売り上げも必ず上がる」「これは疑いようもない真理である」というメッセージを、割と見かけます。
確かに顧客満足は極めて大切であることは全く同感です。
しかし、顧客満足だけを徹底的に高めれば、他のことは忘れても売上は上がる、というような単純なものではないと思います。
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コールセンターの満足度に絞って考えます(引用のエントリーはもっと広いはなしなので)。
特にコールセンターにおける顧客満足度は、永井氏も書かれているとおり、その後の購買やリピートオーダーに大きく影響します。その意味で大変重要です。
しかしながら、電話をかけてこないお客様も含めた、お客様満足度は全ての顧客接点の評価ではないでしょうか。即ちコールセンター以外の満足度も大きく影響するのです。
僕らの考え方は、顧客接点全体(コールセンター、製品マニュアル、WebのHelpサイト、店舗対応、チラシやパンフレットなどなど)に関する、お客様の本質的な満足度をどう高めるか?ということが勝負どころであり、その中でコールセンターが中心となる役割を果たすことができるだろうというものです。
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