あるネットビジネスの企業があったとしましょう。ネット企業ですからネットでのオーダーが多ければ多いほど儲かります。
また、ネット企業は顧客に対する問合せをメールセンターまたはコールセンターで対応しています。問合せは、オーダーの出し方、Webの記述内容に関する不明点、納品物・送付物の疑問、お金・決済に関する問合せ、その他クレーム等が想定されます。
上記のビジネスを異なる二つの企業が実施していたと仮定します。そしてそれぞれコールセンターがあったとします。
A社は、コールセンターのコストを削減するために、平均処理時間(問合せ一件あたりの平均対応時間)を重要な指標としています。このKPIが良くなると全体の処理件数が増加し、応対コストは下がる予定です。
B社も同様にコールセンターのコストを削減したいと思っておりましたが、同時にお客さ様の本質的な満足度を高めたいと考えました。そこで、KPIを、Calls/オーダー(ネットビジネス全体で処理するお客様からのオーダー1件あたりで何件の問合せがあるか?)と設定しました。
おそらく、A社はKPI改善のためにセンター内の教育や評価制度、あるいはシステムの使い勝手等の改善などをします。そしてオペレーターさんも一件の処理時間を短くしようと心がけます。
B社は、問合せの内容を分類し、その問合せを減らすための施策をWebチーム、サービス案内チームなど関連する部門と検討するでしょう。センター内では、お客様からの問合せについて、お客様が完全に納得し、これから問合せなしに注文(オーダー)を継続的に出していただくことを目指し、カスタマーエデュケーションに注力するでしょう。
A社はうまくいけば問合せ処理コストの削減に成功します。失敗すると同じお客様が再度問合せを行い、逆に処理量が増加するかもしれません。
B社はうまくいけばお客様満足度も上昇し結果としてセンターでの処理件数も削減されコスト削減とCS向上の両面が達成できます。もし、他部門の連携がうまくいかずに、結果として処理時間だけが増加したとしたら対応コストは増加してしまいます。
***
さて皆さんはどちらのアプローチをとるでしょうか?問合せの原因が事業の顧客接点に起因するものは殆どなくなり、この問合せそのものは削減できないという時にはA社のアプローチがいいかもしれません。もし、顧客接点で改善すべきところがあるのであれば、まずはB社のアプローチをとるべきではないでしょうか?
B社のアプローチは全社的な意思決定が必要になります。
最近のコメント