JCOMが喜ばれる電話営業で成約増加中という日経情報ストラテジーの記事より。
電話の内容は主に2つだ。1つは、顧客にインターネット接続や固定電話といった、ケーブルテレビ以外の新たなサービスをお勧めするもの。もう1つは、アナログ放送番組を見ている顧客に、より高画質なデジタル放送番組への切り替えを促すものである。
基本的に会員に向けたアップセルとクロスセルを実施中ということ。ケーブルTVを契約している企業から、ネット接続やデジタル放送へのお勧め電話があったとしても、それほど違和感はない。特にデジタル放送への切り替えは、いつかはしようと思っている人も多いと思う。ただ、自分で電話をかけてまで契約するほどのエネルギーはないという人が殆どではないか。
それでいて、アウトバウンドのオペレーターのコストは、コールセンターの運営費やシステム構築費まで含めても、営業担当者が顧客の自宅を回る訪問営業のコストよりも安い。
記事中にも書いてあるが、デジタルに切り替えると1000円毎月の金額が上昇するが、それを地上の営業マンが営業していてはとても効率的とは言えない。営業マンが訪問する場合、電話と営業マンで説明してご案内する時間が同じだとしても(実際は違うと思うが)、次の家に移動する時間、家でピンポンを押して人が出てくるまでの時間などを含めて考えれば1件アプローチする時間も圧倒的に電話のほうが効率的だ。
成約率はどうだろう。
今ではオペレーター1人当たりの月間契約獲得数(クロスセルの実績)が、平均で30件に達した。同じく、デジタル放送へのアップセルでは、月間100件以上の契約変更を獲得するオペレーターが続出している。
実際、営業で断られると、営業マンのショックは大きい。営業である限り、電話でいうガチャ切りのような断られ方も多いと思う。そういう中でモチベーションを維持し、成約率を上げていくには、ショックは小さいほうがいい。恐らく電話のほうがショックからの復活は早い気がする。SVがすぐに次は取れるよなどとフォローもその場でできる。そうなると全体平均的としての成約率は電話のほうが上昇速度が速いと思う。
成約率を上げるのに、個人の力と組織の力の違いがある。コールセンターの場合、ベストプラクティスを横展開したり、経験豊富なSVが直接営業の場面で指導できるため、全体のパフォーマンス向上はしやすい環境だ。営業マンの場合は個人の能力によるところが大きい。従って、一人一人というよりは部門全体でみたらコールセンターのほうがパフォーマンスが高まる可能性が高い。
全て(全ての商材)において、アウトバウンドが営業マンより効率的だと言うことはできない。JCOMの事例では、冒頭に書いたとおりお客様にとって違和感も少なく、自分でもいつかはと思っていたところを後押しするという意味では喜ばれるかもしれない。そういうアウトバウンドであれば、効果が出るということ。なんでもかんでもアウトバウンドで獲得すればいいということではない。
また、成果が出ているということは、中で働いている方々の努力やノウハウの積み重ねがあることも忘れてはいけないとも思う。
PS:ちなみに弊社では大規模な獲得系のアウトバウンドは実施していません。
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